事例紹介
Case study
手先の巧緻性課題
今回は、指先の操作力を高めるひも通しという課題をご紹介します。
この写真の課題は、100円均一ショップで購入した
おもちゃのアクセサリー作りセットのひもと、ビーズを使用しています。
①まず、利き手と反対の手でひもを持ちます。
②次に、利き手の三本指(親指、人さし指、中指)で
ビーズや穴のあいた積木などのパーツをつまみます。
③ひもを通すパーツの穴を見て確認します。
④ひもをパーツの穴に通します。
⑤穴を通り抜けたら、ひもを持ち替えて先端までパーツを通します。
日常生活場面や学校生活場面では、指先の操作が必要なことがたくさんあります。
例えば・・・
・鉛筆や消しゴムの使用
・教科書のページめくり
・コンパスの使用
・ボタンかけ
・ファスナーの留め具をかませ操作
・靴下の着脱
・靴の紐を結ぶ(中学生になった時にとても必要なスキルです。)ことなどです。
このようなことをやり遂げることに困難さがみられると、
私たちは保護者様からよく相談を受けます。
お子様のご様子を見せていただいたり、日常生活場面のご様子を詳しくお聞きしたりして
原因を探っていくと、お子様の指先の使い方に原因があってできなかったり、
時間がかかってしまったりするのではないかと思われることがよくあります。
発達障害をお持ちのお子様の中には、以下のようなことができないために
指先の操作をうまくできない方がたくさんいます。
・自分の体の動きを客観視することができないため、
どうしてできないのかを知ることができない。
・見ているように見えても実は注目すべき場所に注目できていない、
または気づくことができていない。
(※いろいろな感覚をうまく使えないことが原因のひとつといわれています。
詳細につきましては、前回の「事例 手先の巧緻性」をご覧ください。)
指先の操作がうまくできないことで、学習に支障が出てしまったり、
指示を聞きもらしてしまったりなどということが起こってしまうこともあります。
指先の操作をうまく行うためには・・・
・自分の手元をよく見ること。
・指先を操作するということ。
が必要となります。目と手の協応といいます。
そこで、指先の操作をうまく行うことができていないお子様に対し、
私たちは指導の中で指先の操作性を高める課題を設定し取り組んでいます。
このような一連の動作を、集中できる環境の中で行うことで、自分の手元をよく見て、
指先を操作する力、その他に集中力や課題を完遂する力をやしなっていきます。
また、お子様の「できた!」という自信や達成感を高めることにもつながります。
この課題は、以下のようなお子様におすすめしたい課題です。
例えば・・・
・小さなものや平たいものをつまむことに困難さがある
・3指(親指、中指、人さし指)でつまもうとするが、動作がぎこちない等
他には、手先の操作課題が得意なお子様には、机に向かう学習の構えを身につけるための
課題として設定してもよいと思われます。
家庭で取り組まれる際には、まずは保護者様が見本をみせて、
僕も私もやってみたい!とお子様が思われるところから始めてみてください。
ひもやパーツなどは、100円均一ショップ等で簡単に手に入れることができます。
はじめはひもよりも負荷がかかりにくい固定された棒にパーツを通す、
棒とおしを使ったり、ひもまたはビーズを大人が持ってあげたり
するとよいかもしれません。
ひもを達成したお子様にはテグスを使ったり、より小さなビーズを
使ったりしてもよいかもしれません。
お子様の「できた!」という達成感を高めることを大切に、
ぜひ楽しい雰囲気の中で取り組んでみてくださいね。