事例紹介
Case study
手先の巧緻性
「バランスの良い書字を書けない」という悩みはよく聞きます。
次の質問は必ず「どうしたらできるようになりますか?」と聞かれます。
「毎日毎日泣きながら書かせています。」とお母さんが泣きそうな顔で訴えられています。
繰り返し書くだけではなかなか書けるようにはならないか、とても時間がかかります。
実は、書字を行うには、いろいろな体の中の感覚を使って行います。
つまり、体の感覚が育っていないと「バランスの良い書字を書けない」ということに繋がってしまうのです。
では、どんな感覚が必要なのでしょうか?
視覚「見る」
聴覚「聞く」
触覚「鉛筆・ノートの感触、椅子・服の感触、床・靴の感触」
前庭覚「頭の位置・姿勢を保つ」
固有受容覚「指先の力の加減、背筋を伸ばす」
このような感覚が大きな役割を担っています。いろいろな感覚が総合的に連動して字を書くことができるようになります。
つまり、基礎の土台をしっかりと作ることで、座る姿勢・鉛筆の持ち方が正しくでき、字をバランスよく書けるのです。
今回の教具は、
「つかむ」⇒触覚
「穴に合わせる」⇒視覚
人差し指で円盤を押さえる⇒固有受容覚
という一連の作業を通して、指先を自分の思うとおりに微調整ができる力と指先にしっかりと力を入れる練習となります。そして、大事なのが操作している手と違う方の手で箱を押さえることで、利き手ではない手の巧緻性(固有受容覚)も養われます。
おまけに、作業を行うことで集中力も養われます。
「こんなものを作るのは大変。」と思うかもしれませんが、家庭でできることはたくさんあります。
例えば
・ペットボトルを開ける・閉める。
・床のごみを拾う。
・洗濯物を干す・取り入れる。
・洗濯物をたたむ。
などなど。手先の巧緻性はいろいろな場面で養われます。できないことに注目する前に、その土台を作る手先を使う作業を子どもと楽しみながら遊んでください。